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心理コラム

ネガティブになりやすい思考パターンと気持ちの切り替え方

2023.02.04

冬の終わりになると、何となく不安や鬱々とした気持ちになることはありませんか?気温が低かったり、晴れの日が少なかったりすると、気持ちも暗くなりがちです。また、新しい年度が近づき、落ち着かなさを感じている人もいるでしょう。人によっては環境が大きく変わるかもしれません。そんな時は不安な気持ちにもなりやすいですね。今回は、新年度を前に陥りやすいネガティブな思考パターンと、気持ちの切り替え方についてお話します。 

ネガティブな気持ちに陥っているとき、ふいに昔のことを思い出すことはありませんか?そういう時に思い出すのは、過去に失敗した時のことや惨めな思いをした時のことなど、嫌な思い出であることが多いでしょう。そして、「自分はあの時からダメだった、今も全く成長していない」とひどく悲しい気持ちになります。 

しかし、これは誤った思考パターンです。 

例えば、写真のアルバムを見てみましょう。「赤ん坊のころの自分」と「今の自分」、全く異なる姿かたちをしています。赤ん坊のような屈託のない笑顔は、大人になった今では難しいでしょう。その分、体や脳は発達し、できることは劇的に増えています。「自分」という存在は変わらないはずなのに、質も量も異なっているのです。 

「過去の自分」と「今の自分」に連続性はありますが、同一ではありません。人は日々年齢を重ね、経験を積み、知識を上書きしており、同じ自分は一日たりともいません。もし「過去の自分」と「今の自分」が似たような経験をしたとすれば、それは偶然の一致であり、確率の問題です。「過去の自分」と「今の自分」が置かれている環境が似通っているなら、似たような状況に陥ることもあるでしょう。でもそれは、「似たような状況」であって、「同じ状況」ではないのです。 

 「未来の自分」も同様です。「今こんな状態の自分は、将来もろくなことはないだろう」等と弱気な気持ちになることがあります。しかし、未来の自分からすれば、今のあなたは「過去の自分」でしかなく、「今の自分」ではありません。つまり、「今の自分」=「未来の自分」ではないのです。

「自分は昔からダメだったし、今も全然できてないし、きっと将来もダメなんだ…」 なんて考えに陥っていませんか? 「過去の自分」=「今の自分」=「未来の自分」と考えるのは、ネガティブな心を助長する誤った思考パターンです。 

もし、しばしば繰り返し困難な状況に陥ることがあるとすれば、それは「偶然その時と似た条件がそろった」からです。 

例えば、「最近、不安な気持ちで夜寝られない。仕事も手につかない。他ごとばっかりしてしまう。こんな自分はダメなやつだ・・・。」という気持ちになったとします。

では、過去に同じようなことになった気持ちになったのはどんな時だったでしょう? 例えば、「高校の時、部活で忙しくて受験勉強できなかった時、すごく落ち込んでしまった。」という体験があったとします。そしてよくよく考えると、今の自分も仕事のほかに子育てが忙しくて、高校の時と似た状況にあることがわかります。これはつまり、「自分はダメなやつだから仕事ができない」のではなく、「忙しくなりすぎると、仕事に集中できなくなる」という傾向があるからです。  

「ネガティブな思考パターンに入ってしまったな」と思ったときこそ、客観的に物事を考えましょう。いつの間にか周囲が、自分が苦手な環境、自分らしく振舞えない環境になっていませんか?環境を変えることで、「今の自分」が少しでも楽になり、生き生きと過ごすことができるかもしれません。

もし、自分一人で客観的に状況を整理することが難しいときは、誰かと話をしてみましょう。カウンセラーは、そのお手伝いができるかもしれません。

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