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心理コラム

マスクを外す?外さない?~マスクを外すのが不安な方へ~

2023.03.24

令和5年3月13日より、マスク着用のルールが大幅に緩和されました。これにより、個人の判断でマスクを外したり、着用したりすることが求めるようになりました。

 日本で新型コロナウイルス感染症が確認されてからはや3年。マスクは私たちの生活の一部となっています。そのマスクを外すというのは、日常生活の大きな変化でもあります。「やっとこの時が来た!」とさっそく外す人もいれば、「まだ早い気がする」と外さない人もいるでしょう。町中を見てみると、まだマスクを着けて外出している人が多いように感じます。マスクなしの生活に戻るまでは、まだまだ時間がかかりそうですね。

とはいえ、このまま感染状況が落ちついていけば、マスクを外す生活が当たり前となっていくでしょう。しかし、それでも「外せない!」「外したくない!」と思う人もいると思います。

それでは、私たちはなぜマスクを外せない、外したくないと思うのでしょうか。

【マスクを外せない理由】

★ウイルス感染への不安

 新型コロナウイルスの毒性や感染力が弱まったとしても、ウイルスが世界からいなくなってしまったわけではありません。もし自分や身近な人が、何らかの病気や障害、妊娠等で高リスクの状態であれば、感染に十分気を付けたいと思うのは当然です。

一方で、感染するリスクや感染してもリスクが低いことはわかっているのに、マスクを外せないという人もいるのではないでしょうか。

日常生活の中で、ありとあらゆる場面でウイルスのことが気になってしまう。買い物したり友人と会ったりしても、「もしこの買い物かごにウイルスがついていたらどうしよう」「おしゃべりの相手がウイルスを持っていたらどうしよう」と不安が頭をよぎってしまう。そう思うと、マスクだけでなく、手洗いや消毒などの行動も頻繁になりがちです。このような場合、目に見えないウイルスへの恐怖が生活に支障が出るほど不安を生じさせていると考えられます。

★素顔を見られることへの不安

 コロナ禍で新しく知り合った人だと、お互いの素顔を知らないということも少なくないでしょう。そういった関係性の人に改めて自分の素顔を見せるとなると、緊張したり、恥ずかしくなったりして、なかなか勇気がいるものです。

 特に、自分の顔が「相手からどう思われるか」という評価を気にしてしまうと、マスクを外すことが難しくなりがちです。自分の容姿に自信があるとか、ないとかはあまり関係ないでしょう。「相手にがっかりされるのではないか」という不安が、マスクを外すことをためらわせます。マスクを外せたとしても、相手の反応に敏感になり、必要以上に自信を喪失し、よりマスクを外せなくなってしまうこともあるでしょう。相手からの評価を恐れるあまり、マスクを手放せなくなってしまうことがあります。

★コミュニケーションへの不安

 コロナ禍で大きく変化したことの一つに、人との距離感があるでしょう。密にならない、会食を避ける、オンライン会議などの生活様式の変化により、自然と独りでいることが多くなり、他者とのコミュニケーションも最小限になっていきました。直接会って話をしたり、遊んだりという機会が減ってさみしい思いがする一方で、必要以上の気遣いをすることも減り、楽になったと感じることもあります。

 マスクを外すということは、実はコミュニケーションの質や量の変化でもあります。マスク越しに行われていたコミュニケーションでは、相手の表情や声の抑揚などの情報はほとんど伝達されませんでした。コロナ禍で、私たちは相手の言葉の内容や掲示物、メールなどの文面にさえ注意を払えばよかったのです。しかしマスクを外すことで、私たちが発する情報はより豊かになり、また受け取る情報も多くなります。情報量が多くなると、疲労や驚きを感じることも増え、人と対面することを面倒に感じることにもつながります。また、そのような体験が重なることで、コミュニケーションそのものを怖いと感じることもあるでしょう。

さて、あなたがマスクを外せないと思う理由は、どれに近いでしょうか?次回は、マスクを外す不安への対処法についてお話ししたいと思います。

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