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心理コラム

機能している家族と機能していない家族

2024.05.31

家族とは何でしょう?皆さんも一度は考えたことがあるのではないでしょうか。他人と家族は何が違うのでしょう。血のつながりとは、それほど特別なものなのでしょうか。子どものころはただただ大きな存在だった親を、疎ましく思ったり、小さく感じるようになったりしたのはいつのころからでしょう。

 人間は脳の発達を優先させた結果、「生理的早産」という状態で生まれてくるようになりました。未熟なまま生まれてきた人間の赤ん坊はとてもか弱く、養育者の存在なしでは大きくなることができません。その結果、子どもを養育する「家族」という機能が必要不可欠になりました。赤ん坊は養育者である親に愛されることでこの世界を肯定的に受け止めることができるようになります。そして、十分な栄養を摂ることで大きく健康な体を得て、家族とのコミュニケーションの中で社会性を身につけ、やがて自立し、独り立ちをします。

一方で、「機能していない家族」も存在します。いわゆる「機能不全家族」です。機能していない家族の中では、子どもは十分な愛情を感じることができず、世界に対して信頼感や安心感をもつことが難しくなります。また十分な衣食住を提供されないことで、心身の成長にも影響が出ることがあります。

「虐待」は機能不全家族の顕著な例といえるでしょう。虐待には、暴力をふるう「身体的虐待」、言葉や行動で追い詰める「心理的虐待」、十分な衣食住を提供しない「ネグレクト(養育放棄)」の三つがあります。虐待的な環境の中で、子どもは愛情を感じることができません。できたとしても、それはいびつな形での愛情でしかありません。また、世界に対しても肯定的なイメージを持つことが難しくなります。暴力や無関心が日常であり、子ども自身が安心できる場所が世界に存在することを信じられなくなります。

「毒親」といわれるような、親が子どもに対して著しく過干渉な場合も同様です。子どもの世界は常に親に監視され、侵入され、操作され、とても心穏やかに安心して過ごせるとはいえません。親の世界と子どもの世界が分離されず、まるで同一であるかのように感じられ、親から向けられた愛情は自分自身に対してのものなのか、それとも親が親自身へ向けているのか区別がつかないように感じるでしょう。いびつな愛情の中で育った子どもは自分自身の歩む未来が描けず、迷子のように感じられるかもしれません。

しばしばニュース等で取り上げられる、いわゆる「トー横界隈」にいる子どもたちの中には、家庭の中に自分の居場所を見つけることができない子もいるそうです。居場所を無くした子どもたちが集まり、自傷行為や売春、オーバードーズなどの自己破壊的な行動を繰り返し行う背景には、機能不全家族があるのかもしれません。 十分に機能している家族の中で育つことで、子どもは自己肯定感をはぐくむことができます。人は確かな自己肯定感を持つことで、自分が描く未来に向けて、前向きに歩んでいくことができるのです。そして成熟した大人となり、次世代をはぐくむための新たな家族を構築します。この循環が続くことは、人間という種の繁栄のためにも理想的なことでしょう。しかしながら、私たち人間一人ひとりの生活はとても複雑で、緻密で、困難で、いつもうまくいくとは限りません。時には循環が途切れてしまうこともあるでしょう。しかしながら、一度途切れたとしても、それですべてが台無しになってしまうわけではありません。たとえ傷ついたとしても、何度も修復してやり直すことができます。その修復のための方法の一つが心理療法です。「こころの保健室」では、家族をテーマに置いたカウンセリングが可能です。ぜひご相談ください。

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