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心理コラム

摂食障害はどうしてなるの?

2024.01.31

摂食障害となる明確な原因はまだわかっていませんが、心理的要因、文化社会的要因、脳の機能などを含めた生理的要因などが複雑に絡み合っていると考えられます。

【ルッキズム(外見重視主義)の問題】

 文化社会的な要因として、やせていることが美しいとする外見重視の社会的風潮が挙げられます。例えば、若い女性が瘦身で整った顔の女性アイドルに憧れたり、やせていることで異性に優遇される経験をしたりしたことなどがきっかけとなり、神経性やせ症を発症することがあります。また、近年ではインターネットやSNSによって極端なダイエット方法や“簡単にやせられる”とうたった商品などへのアクセスが容易になったことなども原因と考えられます。

【自己認知の問題】

 摂食障害では、やせているにもかかわらず「自分は太っている」と誤った認知をしていたり、「何キロ以上は醜い」といった偏った思い込みをしていることがあります。また、身体に関する自己認知のゆがみだけでなく、自分自身を過度に否定するようなネガティブな自己イメージを強く持っていることがあります。「何をやってもうまくいかない自分」に対して、体重は自分自身で管理することができ、努力すればするほど結果として表れます。そのため、肯定的な自己を維持しようとしてさらに体重管理にのめり込んでしまいます。

【ストレスの問題】

 「食べる」=「ストレス発散」というサイクルが繰り返されることで、空腹状態でなくても食べることがやめられなくなります。職場や学校でのストレス、家庭環境や生活環境の変化などによるストレスが過食行動を引き起こし、さらに食べ過ぎてしまったこと、自分自身をコントロールできないことへの罪悪感がストレスとなり、過食へとつながっていきます。

【うつやPTSDなどの合併症】

 摂食障害は、他の精神疾患の合併症として表れることも少なくありません。うつなどの気分性障害、不安障害、強迫性障害、過去のショッキングな出来事によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)、アルコール依存症、発達障害などです。過食や拒食の症状があるとき、もしかしたらその背景には他の精神疾患が隠れているかもしれません。専門機関に相談し、適切な診断と治療を受けましょう。

【家族との関係性】

 「食事」は他者とのコミュニケーションツールの一つでもあります。生まれたての赤ん坊は母乳やミルクを飲ませてもらうことでしか栄養を摂取できません。ある程度成長しても、子どもは自分自身で食べ物を入手し調理するは難しく、大人が食事を与えなければなりません。「食事」はまさしく周囲の大人、とりわけ「家族」との営みそのものといえます。食べること、栄養を摂取することへの偏った認知や考え方は、家族との関係性の中ではぐくまれたものかもしれません。特に、幼児の摂食障害に関しては家族との関係性が大きく影響している可能性があります。摂食障害においては家族療法も有効な手段のひとつです。

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