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心理コラム

適応障害ってどんな病気?

2023.06.30

「適応障害」という言葉はご存じでしょうか?

最近は芸能人や著名人が心の病気や疲労で休養に入ることが公表されるようになりましたが、その原因の一つとして「適応障害」という病名も公表されるようになってきたように思います。「うつ病」や「パニック障害」は名前からどんな症状なのか想像しやすいですが、「適応障害」という言葉だけ聞くと、なかなかイメージしにくいですよね。

今回は、「適応障害」がどんな心の病であるかお話しします。

◆原因

適応障害は、強いストレスにさらされることによって、日常生活が難しくなるほどの不調が心身に現れる病気です。特定の環境要因によって引き起こされる場合が多いので、原因は明確であることが多いです。例えば、就職や転職によってこれまでとは異なる環境に置かれた時、引っ越しや結婚など大きなライフスタイルの変化があった時など、その新しい環境に適応することが難しく、発症することがあります。

◆症状

 適応障害では次のような心身の不調が表れることがあります。

【心の症状】

・楽しいと感じられず、心が落ち込んだ気分になる

・何となく不安な気持ちがある。

・常に憂鬱な気分である。

・イライラしたり、涙もろくなったり、感情の起伏が激しい。

・ちょっとしたことが気になり、神経過敏な感じがする。

・急な焦燥感に襲われる。

・何をしても意味がないように感じる。  など

【体の症状】

・頭痛、肩こり、腰痛

・食欲不振や吐き気

・入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒などの不眠の症状

・動悸

・倦怠感、疲労感

・注意散漫  など

 また、上記のような症状がひどくなることで、学校や会社に行けない、日常的な家事がこなせないといった行動面での問題も出てきます。また、突然攻撃的な言動をするようになったり、泣きわめいたり、性格が変わったような行動をとることがあります。

【対処法】

 適応障害の場合は、原因が明らかであり、環境を調整することでストレスが軽減されます。例えば、新しく配属された部署での仕事が合ってないのであれば配置変更をお願いしたり、仕事の割り振りを変えてもらったりすることなどが考えられます。休職などで、数週間職場を離れてみることも選択肢の一つです。

 また、環境を変えることに加えて、自分自身が環境に適応する工夫も必要です。病院を受診し投薬治療で症状を抑えることで、気持ちを切り替えて新しい環境になじむことができるでしょう。また、カウンセリングや心理療法を受けることで、自分自身の行動パターンや思考パターンを振り返り、より適応的な考え方や行動を身に着けていくというやり方もあります。

適応障害は誰でもかかる「心の風邪」のようなものですが、長期間続くことで、いわゆる「うつ病」になることもあります。心身の不調を感じたときは、早めに誰かに相談するようにしましょう。

症状一覧

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